毎月の給料明細を見て、「え?こんなに引かれるの?」と驚いたことはありませんか?
でも、実際にどれだけ“国に取られている”か、正確に把握している人は少ないかもしれません。
そこで登場するのが「国民負担率」という言葉です。これは、私たちがどれだけ国にお金を納めているかを示す重要な指標なんです。
この記事では、「国民負担率って何?」から始まり、手取りが減っている理由やその背景まで、やさしく解説していきます。
国民負担率とは?ざっくり説明すると…
国民負担率とは、私たちが1年間に得た所得のうち、税金や社会保険料としてどれだけ“国に納めているか”を示す割合のことです。
たとえば年収500万円の人がいたとして、国民負担率が50%なら、約250万円が税や保険料として徴収されているということになります。
計算式は以下の通りです。
国民負担率=(租税負担率+社会保障負担率)÷国民所得
つまり、稼いだお金のうち「どれくらいが自分の自由にならないか」を示すわけですね。
2024年度の国民負担率は?
2024年度の国民負担率(見込み)は、47.5%(財務省調べ)とされています。
つまり、私たちの所得のうち、約半分が税金や社会保険料で消えているという計算になります。
ちなみに、アメリカでは30%台で推移しており、日本は世界的に見ても高い水準にあることがわかります。
なぜこんなに負担が重いの?
理由①:社会保障費が年々増加している
高齢化が進む日本では、年金・医療・介護といった社会保障費が増え続けています。
これを現役世代が支えているため、年々負担が重くなっているのです。
理由②:消費税などの増税が続いている
1989年に消費税が3%で導入されてから、現在は10%に。
加えて、住民税や復興特別所得税なども導入され、私たちの負担は確実に増えています。
理由③:保険料は収入にかかわらず一定額かかることも
たとえば、国民健康保険や介護保険などは、収入が少なくても一定の保険料がかかるケースがあります。
収入が減っても、負担が減らないという矛盾が生まれるのです。
実際に手取りはどのくらい減っている?
年収500万円の会社員の場合、以下のような負担がかかります。
- 所得税:約12万円
- 住民税:約30万円
- 健康保険料:約40万円
- 厚生年金:約90万円
合計すると、年間約170万円が天引きされていることになります。
つまり、実際に手元に残るのは330万円ほど。
表面的な年収と実際の可処分所得の差は、想像以上に大きいのです。
国民負担率が上がるとどうなる?
可処分所得の減少
可処分所得が減ると、家庭の支出が抑えられ、消費が冷え込みます。
それにより、経済全体の動きも鈍くなり、景気にも悪影響を与えます。
将来不安の拡大
「これからもっと負担が増えるのでは?」という不安が、結婚・出産・住宅購入といった人生の大きな選択に影響を与えることも。
若い世代や子育て世代にとっては、特に深刻な問題です。
国民負担率は下がらないの?私たちにできること
現実として、今すぐに国民負担率が下がる可能性は低いでしょう。
しかし、自分がどれだけ支払っているのかを「知る」ことは、家計管理や将来設計にとって大きな意味があります。
- 保険の見直し
- 控除や減税制度の活用
- 政策や選挙への関心を持つ
こうした行動が、少しずつ自分の負担を軽くする手助けになります。
まとめ:知らないと損する“見えない負担”
国民負担率は、普段の生活ではなかなか意識されません。
しかし、その中身を知れば、なぜ手取りが減るのか、なぜ生活が苦しいのか、その背景が見えてきます。
「なんとなく取られてる」ではなく、「なぜ取られてるのか」を知ることが、これからの時代には欠かせない視点です。
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