ベーシックインカムってほんとに実現できるの?

最近、「ベーシックインカム(BI)」という言葉をニュースやSNSで目にする機会が増えました。誰にでも毎月一定額のお金が支給されるこの制度、一見すると夢のように思えるかもしれません。しかし本当にそんなことが実現可能なのでしょうか?今回は、このベーシックインカムについて、中立的な立場から考えてみます。

目次

ベーシックインカムとは?

ベーシックインカムとは、すべての国民に対し、無条件で一定額の現金を継続的に支給する制度です。年齢や所得、就労の有無にかかわらず、誰もが同じ額を受け取れるというのが大きな特徴です。

この制度は、「最低限の生活を保障し、格差や貧困を減らす」という目的で提案されており、近年では世界各地で実証実験が行われています。

実際に導入された国もある?

たとえば、フィンランドでは2017年から2018年にかけて、失業者に毎月560ユーロ(約7万円)を支給する試験的な導入が行われました。結果として、精神的なストレスが軽減されたという声は多かったものの、「就労意欲が上がったかどうか」については評価が分かれました。

また、ナミビアやカナダ、アメリカの一部自治体でも類似の取り組みが行われていますが、いずれも大規模な恒久制度としての導入には至っていません。

ベーシックインカムのメリット

では、ベーシックインカムにはどのような利点があるのでしょうか。主なポイントを3つ紹介します。

1. 貧困対策としての効果

生活保護のような申請制の制度とは異なり、BIは全員が対象です。これにより、「制度にアクセスできない人」「申請の手間を嫌う人」への支援漏れを防ぐことができると言われています。

2. 行政コストの削減

現在の社会保障制度は複雑で、審査や手続きに多くの人員とコストがかかっています。ベーシックインカムに一本化すれば、そうしたコストを削減できる可能性があります。

3. 働き方の自由化

最低限の収入が保障されることで、「ブラック企業に依存しなくて済む」「起業や副業に挑戦しやすい」といった効果が期待されています。

でも懸念点も多い…

一方で、ベーシックインカムの実現には多くの課題があります。とくに以下のような懸念が指摘されています。

1. 財源はどうするのか?

たとえば国民1人に月7万円を支給すると、単純計算で年間100兆円超の財源が必要です(※日本の人口約1.2億人の場合)。これは国家予算の半分以上にあたります。この金額をどう確保するかが最大の壁です。

2. 本当に「働かなくなる」人が増える?

「お金がもらえるなら、働かなくなる人が増えるのでは?」という懸念もあります。ただ、フィンランドなどの実験では、必ずしも就労意欲が下がったとは言えない結果もあり、一概には言えません。

3. インフレの危険性

全員にお金を配ることで、消費が過熱し、物価が上がる(インフレ)リスクもあります。とくに輸入に頼る生活必需品が高騰すれば、逆に庶民の生活が苦しくなる可能性も。

日本での実現可能性は?

日本はすでに高齢化と人口減少が進んでおり、社会保障費が膨らみ続けています。そのため、「すべての人に等しく給付する」という制度は、現実的にはかなり難しいとの見方が主流です。

ただし、今後AIによる自動化が進み、「労働がなくても生活できる社会」を目指すのであれば、ベーシックインカム的な仕組みを導入する必要性は高まるかもしれません。

まとめ:今すぐは難しい、でも議論は必要

ベーシックインカムには多くのメリットがある一方で、財源や制度設計といった課題も山積しています。今すぐに日本で導入される可能性は低いですが、将来の社会のあり方を考えるうえで、この議論は避けて通れないでしょう。

誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、今こそ建設的な議論を深めるタイミングかもしれません。

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