国の借金、ほんとに未来の子どもたちのツケ?

「日本は借金まみれ」「このままだと将来の子どもたちが返すことになる」──そんな言葉をニュースやSNSで見たことがある人は多いかもしれません。でも、そもそも「国の借金」とは一体何で、なぜそれが「未来へのツケ」だと言われているのでしょうか?

今回は、この“なんとなく聞いたことがあるけどよく分からない話”を、できるだけ分かりやすく、冷静に整理してみたいと思います。


目次

国の借金って、誰が誰に借りてるの?

まず、「国の借金」と聞くと、多くの人は「日本という国が、どこか海外の機関や銀行からお金を借りている」とイメージしがちです。でも実際は、国債というカタチで、政府が国内の銀行・保険会社・個人などからお金を借りているというのが現実です。

つまり、「国の借金=国民からの借金」という構図になっているのが日本の特徴です。


GDPの2倍以上ある借金は、本当にヤバい?

財務省によれば、日本の国債残高は1000兆円を超え、GDPの2倍以上に達しています。数字だけを見ると不安になりますが、ポイントは“円建てで国内から借りている”という点。ギリシャやアルゼンチンなど、過去にデフォルト(債務不履行)を起こした国の多くは「外国通貨建てで、海外から借りていた」ことが共通しています。

日本は「自国通貨建ての国債を、自国の中央銀行が支えている」ため、他国と同じように単純比較できるものではないのです。


「ツケを払う」の本当の意味とは?

「子どもたちにツケを回すな」と言うとき、多くの人は「借金返済の負担が将来世代にのしかかる」とイメージします。

しかし、実際には国債は償還期限がくれば、借り換えられるのが一般的で、必ずしも一括返済するわけではありません。しかも、政府が借金をして使ったお金は、教育、医療、福祉、公共インフラなどに使われ、今を生きる国民が恩恵を受けているという面もあります。

つまり、「何に使い、どんな効果を生んでいるか」が問われるべきであり、数字だけで“ツケ”というのは本質を見誤る可能性もあるのです。


プライマリーバランスと「黒字化」の圧力

政府が財政健全化の指標として掲げているのが「プライマリーバランス(基礎的財政収支)」です。これは、借金の利払いを除いた税収と支出の差で、黒字化すれば「借金に頼らない財政」と見なされます。

しかし、黒字化を目指すあまり、福祉や子育て支援、教育投資などの未来への支出まで削られてしまえば、本末転倒とも言えるでしょう。


本当に大事なのは「数字」より「使い道」

国の財政を見るとき、確かに健全性は大事ですが、それ以上に問われるべきは「その支出が未来を良くする投資になっているかどうか」です。

単に借金を悪と見なすのではなく、「何に使われているか」「それが世代を超えて価値を生むか」を軸に考える視点が求められています。


未来の子どもたちにツケを回さないために

もし本当に子どもたちの未来を考えるなら、必要なのは無理な増税や支出削減ではなく、「持続可能な社会の設計」です。

  • 教育や子育て支援にしっかり投資すること
  • 若い世代が安心して暮らせる制度設計を行うこと
  • 財政だけでなく、社会全体のビジョンを共有すること

こうした積み重ねがあって初めて、「未来への責任」を果たすことができるのではないでしょうか。


「借金=悪」「ツケ=恐怖」という思考停止から抜け出し、社会全体の“使い方”を問い直すこと。
それこそが、これからの時代に求められる姿勢かもしれません。

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