「また車検か…高いし面倒くさいなぁ」
そんなふうに感じたこと、車を持っている人なら一度はあるはず。
2年に1度(新車なら3年後)やってくるこの“車検”──でも実際、なぜ必要なんでしょうか?
- そもそも車検ってなんのためにあるの?
- いつから始まった制度なの?
- 他の国と比べて日本はどう違う?
この記事では、そんな疑問に制度の成り立ちから目的、さらには受け方の選択肢まで、現役ドライバーの目線でわかりやすく解説していきます。
後半には「車検で15万円超え!?」という筆者のエピソードも紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
車検制度とは?ざっくり解説!
「車検(正式名称:自動車検査登録制度)」とは、
あなたの車が安全に走れて、環境基準も満たしているかを定期的にチェックする制度です。
なぜなら、公道を走る以上、車の不具合はそのまま事故や環境汚染につながるからです。
たとえば──
- ブレーキが利かなくなる
- タイヤが摩耗してスリップしやすくなる
- マフラーから黒煙が出る
- ヘッドライトが暗くなって前が見えづらくなる
こうしたトラブルが起きる前に、国の基準でチェック・整備を義務化しているのが車検なんです。
日本の車検スケジュール
- 新車購入後:3年目に初回車検
- 以降:2年ごとに継続車検
もし車検を受けないままだとナンバープレートが失効し、
法律上、車として公道を走れなくなるので注意が必要です。
「ちょっと面倒…」と感じがちな車検ですが、実は“安全と環境を守る最後の砦”なんですね。
なぜ車検が必要なのか?
車検は「面倒くさいけど、やらないとダメなもの」──
そう思っている人も多いかもしれません。
でも実は、車検にはしっかりとした目的が2つあるんです。
① 交通事故を防ぐため
車は年数が経つごとに少しずつ劣化していきます。
たとえば:
- ブレーキの効きが弱くなる
- タイヤがすり減る
- ワイパーがうまく動かない
- ヘッドライトが暗くなる
こういったトラブルを放置すると、
最悪の場合、事故につながる可能性も。
だから車検は「車の定期健康診断」のようなもので、
未然に故障や不具合を防ぐために必要なんです。
② 環境を守るため
もう一つの大きな理由が環境への配慮です。
車検では、エンジンやマフラーから出る排気ガスもチェックされます。
もし基準を超える有害なガスを出していたら、整備して改善する必要があります。
つまり車検は、人の命と地球の環境を守るための制度とも言えるんですね。
車検制度はいつから始まったの?
日本で車検制度が本格的に始まったのは、1951年(昭和26年)のことです。
戦後の混乱が落ち着き始め、道路インフラや自動車の普及が加速するなか、
「このままだと整備不良の車が事故を起こす」といった懸念が高まりました。
そこで政府が整備に乗り出し、
「道路運送車両法」という法律が制定されました。
この法律が、いまの車検制度のベースになっているんです。
当時の車は今ほど性能が高くなく、
ブレーキやエンジンの不具合が頻発していた時代。
そうした背景から、国が安全を担保するためのチェック制度として車検が導入されたんですね。
つまり、車検は単なるルールじゃなくて、
「命を守るための制度」として誕生したという歴史があるんです。
実はこんなに違う!車検の受け方3パターン
「車検って、どこで受けても同じでしょ?」と思っていませんか?
実は、受ける場所によって費用も対応もけっこう違うんです。
代表的なのは以下の3パターンです。
① ディーラー車検
- 一番安心・丁寧・確実
- メーカー保証が受けられる
- そのぶん費用は高め(10〜15万円が目安)
- 新車購入時と同じディーラーで受ける人が多い
② 民間整備工場(認証工場)
- 費用はディーラーよりやや安い傾向(7〜12万円程度)
- 地域密着で、柔軟な対応が魅力
- 技術の差があるので、口コミや実績をチェックするのが吉
③ ユーザー車検(自分で受ける)
- とにかく費用を抑えたい人向け(4〜7万円)
- 自分で整備、予約、陸運局での検査まで全部やる
- 書類や検査に慣れていないと、正直ハードルは高い
例えば、同じ車でも:
ディーラー車検 → 約12万円
ユーザー車検 → 約6万円
なんて半額以下になるケースも珍しくありません。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、
自分の予算・手間・安心感のバランスで選ぶのがポイントです。
車検でチェックされる内容は?
車検では、車が「安全かつ基準を満たしているか」を確認するために、
さまざまな項目がしっかりと検査されます。
主な検査内容はこちら
- ブレーキの効き具合(制動力)
- ヘッドライトやウインカーの点灯確認
- タイヤの溝の深さ・空気圧
- 排気ガス(CO・HC濃度)の測定
- マフラー・サスペンションの損傷確認
- 車体番号の確認
これらはすべて、「安全に走れるか」+「環境に悪影響がないか」の2軸で判断されます。
自分で車検(ユーザー車検)もOKだけど…
自分で検査場に行って車検を受けることも可能ですが、
多くの人は整備工場やディーラーに依頼するのが一般的です。
費用の目安
- 法定費用(自賠責・重量税・印紙代):約4〜6万円
- 整備費用:車の状態によって変動。部品交換があると高くなる
車種や状態にもよりますが、トータルで5〜10万円以上かかるケースが多く、
場合によっては15万円を超えることも珍しくありません。
「なんでこんなに高いの!?」と思ってしまうのも無理はないですよね。
海外の車検制度と比較してみよう
「日本の車検って、高すぎじゃない?」
そう思ったことがある人も多いはず。
実際、海外と比べると日本の車検制度はかなり厳しめです。
ここでは主要3カ国の制度と、日本との違いをざっくり比較してみましょう。
🇺🇸 アメリカ(州によって制度が異なる)
- 車検が「ない」州もある
- 実施されても2〜5年に1回と間隔が長め
- 整備・安全は基本「自己責任」の文化
- 基準は緩く、費用もかなり安い($20〜$50程度)
🇩🇪 ドイツ(TÜV制度)
- 新車登録から3年後、以降2年ごと
- 安全基準は厳しいが整備項目が合理的で無駄が少ない
- 違反すると罰則も重い
- 「必要なものだけ整備」という発想で、納得感あり
🇰🇷 韓国
- 初回車検は4年後、以降2年ごと
- 検査項目・流れは日本と非常に似ている
- 費用も比較的高めで、日本に近い感覚
✅ 日本は…
- 新車は3年後、以降は2年ごとに強制
- 安全+環境+書類面すべてを厳密にチェック
- 費用は世界的にも高水準(10万円前後〜)
「安全・環境を守るため」と言えば聞こえはいいけど、
費用の重さや“お役所的なガチガチさ”にモヤモヤしている人が多いのも事実です。
海外では「車は自己責任で整備」が当たり前の国も多く、
そのぶん自由度は高いけど、トラブルがあった時の責任も個人にのしかかります。
日本の車検制度は、安全第一だけど費用は重い。
そのバランスに納得できるかどうかが、大きなポイントになってきます。
筆者の車検エピソード
僕自身も、はじめての車検で本気で驚いた経験があります。
それは、中古で買った軽自動車の車検のとき。
「軽だし安く済むやろ」と思って見積もりを出してもらったら──
合計:約15万3,000円。
思わず「えっ!?なんで!?」と声が出ました。
内訳を見てみると、
- ブレーキパッドの交換
- タイヤ4本の交換
- バッテリーの劣化で交換
- ワイパーゴムの交換
などなど、予防整備も含めて盛りだくさん。
でも整備士さんが一つひとつ丁寧に説明してくれて、
「走行距離の割に部品の傷みが早いから、今のうちに替えておいた方がいいですよ」ってアドバイスも。
確かに高い出費ではあったけど、あとから不具合で困るよりはマシ。
今思えば「安心を買った」と納得できました。
この経験以降、車検のときは「安さ」だけじゃなく、
“何をやってくれるのか”をちゃんと聞いて理解することが大事やなって思うようになりました。
まとめ:車検制度ってムダ?それとも必要?
車検制度は、「車の安全性と環境性能を守るため」の仕組みです。
でも現実としては──
- 費用が高すぎる
- 整備内容がよく分からない
- 柔軟性がなくて選択肢が少ない
といった不満の声も多いのが現状です。
海外のように“自己責任”にすれば自由度は上がりますが、
日本では「一定の安心・安全を全ドライバーに保証する」という方針を取っているため、
制度そのものがカッチリしているのも事実。
制度の背景を知れば、“納得”に変わる
- なんで車検があるのか
- いつから始まったのか
- どういう理由で費用がかかるのか
こういった背景を知っておけば、
「ただ高いだけの謎イベント」じゃなく、
「納得して選べるメンテナンス」という視点に変わっていきます。
次の車検のとき、この記事を思い出してもらえたら嬉しいです。
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