“財政赤字”ってなに?国の支出と収入のバランスをやさしく解説

「日本の財政は赤字だ」
「このままじゃ破綻する」
──そんな言葉を、ニュースや政治家の発言で一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

でも実際、「財政赤字って何がどう赤字なの?」と聞かれると、
なんとなく“ヤバそう”というイメージだけで、
具体的にどんな仕組みなのか分からない人が多いのではないでしょうか。


赤字と聞くと「借金が膨らんでいる」=「国が危ない」と感じてしまいますが、
実は、家計や企業の“赤字”とは意味も性質も異なります。

だからこそ──

「何がどう赤字なのか?」
「本当にヤバい状態なのか?」
「どこに問題があるのか?」

を、冷静に知っておくことが大切なんです。


この記事では、

  • 財政赤字ってそもそも何のこと?
  • 国の“収入と支出”はどうなっているの?
  • 赤字が続くと、私たちの生活にどんな影響があるの?

こうした疑問を、できるだけやさしく、事実ベースで解説していきます。


✅ ニュースを見ても不安にならないために。
「財政赤字」を正しく知ることから始めましょう。

目次

財政赤字とは?簡単に言うとどういうこと?

“財政赤字”という言葉、なんとなく「お金が足りていない」印象がありますが──
実際にはとてもシンプルです。


✅ 財政赤字=「国の支出が、収入を上回っている状態」

  • 国の収入(=税金など)より
  • 国の支出(=年金・医療・教育・公共事業など)の方が多いとき、
    その差額が“赤字”になります。

✅ 家計にたとえると…

たとえば、あなたの毎月の収入が20万円なのに、
生活費・ローン・保険料などの支出が25万円かかっていたら…

👉 月に5万円の赤字ですよね?
これと同じことが“国全体の予算”でも起きているのが、財政赤字です。


✅ じゃあその赤字はどうしてるの?

国はこの赤字を埋めるために、“国債”というカタチでお金を借りています。

つまり、「足りないぶんは将来返す前提で借金してる」ということ。
これが「国の借金が増えている」と言われる理由でもあります。


✅ 財政赤字とは、“国の財布がずっと赤字続き”の状態ということ。
でも、この仕組みそのものがすぐに破綻に直結するわけではありません。

👉 次のセクションでは、「じゃあ収入と支出ってどうなってるの?」という“国の財布の中身”を見ていきましょう。

国の収入と支出はどうなっているのか?

財政赤字の話を理解するには、
「いくら入ってきて、いくら使ってるのか」──つまり、国の収支バランスを知る必要があります。


✅ 【h3:収入(歳入)はどこからくるの?】

国の収入=歳入(さいにゅう)は、主に以下の3つから成り立っています。

  • 所得税・法人税・消費税などの税金
  • 国債(=将来返す約束で借りたお金)
  • 印紙収入・配当金・独立行政法人の利益などの非課税収入

👉 近年では、税収は60兆円前後、
それに対して30〜40兆円ほどの国債発行で足りない分を補っています。


✅ 【h3:支出(歳出)は何に使われている?】

一方、国の支出=歳出はこんな感じです。

  • 社会保障費(年金・医療・介護など)
  • 公共事業(道路・橋・インフラ整備)
  • 教育・防衛・地方交付税・国債の利払い など

👉 特に大きいのは社会保障費で全体の3割以上
高齢化が進む中、年々増加しています。


✅ 【h3:要するに…】

  • 収入:主に税金+足りない分を借金で補填
  • 支出:年金・医療・公共サービスなど幅広く使われる

その結果、慢性的に「出るお金 > 入るお金」=赤字状態が続いているのです。


✅ 次のパートでは、
「なんでこんなに支出が増えてるの?」
「どうして収支が釣り合わなくなってるの?」──
“赤字の理由”に迫っていきましょう。

なぜ赤字になってしまうのか?

国の収入と支出のバランスが崩れ、赤字が続く背景には、
一時的なミスではなく──“構造的な要因”があります。

ここでは、主な3つの原因をわかりやすく解説します。


✅ ① 高齢化による社会保障費の急増

日本は世界でもトップレベルの高齢化社会。
年金、医療、介護といった支出は年々増加し、
2024年度には社会保障費だけで36兆円を超える水準に達しています。

👉 一方で、支える現役世代(納税者)は減少中。
“払う人が減って、使う人が増えている”という逆転現象が起きているのです。


✅ ② 景気低迷で税収が伸びない

景気が良ければ企業の利益も増え、所得も増え、税収も増える。
でも長く続いた不況やデフレにより、

  • 法人税
  • 所得税
  • 消費税収の伸び

すべてが思ったように増えていないのが現実です。


✅ ③ 将来の支出を“借金”でまかなってきたツケ

過去の政治では「景気対策」や「人気取り」のために、
本来は税金でまかなうべき支出を国債で補ってきた歴史があります。

👉 その結果、

  • 借金の元本は増え
  • 利息の支払いも膨れ
  • “借金返済のためにさらに借金する”という悪循環も…

✅ 赤字の原因は単純ではありません。
社会構造・経済の停滞・政策のあり方が絡み合った“構造的な問題”なのです。

赤字が続くと本当に危ないの?

「国の財政が赤字」
「国の借金が1000兆円を超えている」

こう聞くと、まるで日本が“今にも倒産する”ような不安を感じてしまいますよね。
でも、実際のところ──国の赤字は、すぐに破綻に直結するわけではありません。


✅ ① 国は“自国通貨建て”で借金している

日本の借金の多くは、「円」で発行した国債です。
そしてその大半を、国内の機関(銀行や日銀など)が保有しています。

👉 つまり、海外に借金しているのではなく“自国通貨で自国に借りている”状態
企業や個人とは、まったく性質が違うのです。


✅ ② 日本は世界的にも信用力が高い

  • 円は“安全資産”とされており、世界中から信用されている
  • 金利も極めて低く、日本国債の利息負担は小さい
  • デフォルト(債務不履行)の可能性は現時点では非常に低い

👉 つまり、「赤字=すぐに破綻」というわけではありません。


✅ ③ ただし、“ツケ”が未来に回っているのも事実

たとえ破綻はしなくても…

  • 将来の税負担が重くなる
  • インフレや金利上昇のリスクがある
  • 国の予算が“借金返済中心”になり、必要な支出に回らない

など、“国民の生活にじわじわ影響する形でのツケ”は確実に存在します。


✅ 赤字はすぐに危機を招くものではないけれど、
放置すれば、私たちや次世代に負担を残す──
だからこそ、冷静に向き合う視点が必要なのです。

どうすれば財政赤字は減らせる?

「財政赤字は問題だ」と言われても──
じゃあ一体どうすれば減らせるのか?

この問いに、完璧な正解はありません。
でも、現実的に考えられる選択肢は、いくつか存在します。


✅ ① 税収を増やす=増税 or 経済成長

税金収入が増えれば、赤字を埋める力も強くなります。
その方法は大きく2つ──

  • 増税(消費税・所得税・法人税の見直し)
  • 経済成長による自然な税収増(景気回復・賃金上昇など)

👉 ただし、増税は国民の生活に直接ダメージを与えるため、慎重な判断が必要です。


✅ ② 支出を減らす=歳出カット

  • 社会保障の見直し(高齢者医療の自己負担率など)
  • 公共事業・防衛費・補助金の精査
  • 行政の無駄・天下り対策

👉 支出の削減はすぐに効果が出やすい反面、
“誰かの生活に直撃する”痛みを伴う選択でもあります。


✅ ③ 政策の方向性を再構築する

  • 少子化対策・教育投資で将来の納税者を増やす
  • 移民政策や雇用の流動化で労働力不足をカバー
  • 財政ルール(プライマリーバランスなど)の見直し

👉 「支出を抑える・収入を増やす」だけでなく、“未来への投資”という視点も重要です。


✅ 財政赤字を解消するには、
痛みを伴う改革・国民的合意・長期的ビジョンがすべて必要になります。

すぐに結果は出なくても、
“考え続けること”が唯一の前進なのかもしれません。

まとめ:正しく知れば、不安は和らぐ

「財政赤字」「国の借金」「破綻の危機」──
こんなワードばかりが目につくと、不安になって当然です。

でも、この記事を通して見えてきたのは、

  • 赤字の構造は“家計とは違う”
  • 今すぐ破綻するわけではない
  • でも、このままでは将来のツケになる可能性はある

という、冷静に捉えるべき“事実”の姿でした。


私たちは、「国の財政」について、
知らされていないわけではないけれど、
“ちゃんと教わる機会”が少ないまま生きてきたのかもしれません。


✅ だからこそ、
「なんとなく不安」で終わらせずに、
“何がどうなってるのか”を自分で知ることが、最初の一歩なんです。


完璧に理解する必要はありません。
でも、“正しく知る”ことで、ニュースや政治の話題にも落ち着いて向き合えるようになります。


👉 財政赤字という言葉に振り回されずに、
私たち自身の未来を、自分の目で見つめていきましょう。

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